ネットショップ(ECサイト)を開業するにあたり、システムの準備の他に、取り扱い商品によって行政機関に対する届け出や許可申請、資格取得などの各種手続きが必要な場合があります。
法律や決まり事に則った手続きなどをしなければいけない。。。法律などと言われると少し気が引けてしまう。。。あまり馴染みのないことなので、不安になる方もいるかもしれません。
しかし、実際に重要なのは事前に「調べ」「確認し」「相談する」ことです。インターネット上でも多くの情報が手に入りますし、手続きをする関係機関の相談窓口なども、とても親切に相談に乗っていただけます。気負いせずにしっかりと手続きを進めましょう!
ショップ開設に必要な手続きを確認しましょう!
誰でも簡単に気軽にネットショップ(ECサイト)を開設できる時代になりましたが、実際にネットショップ(ECサイト)として事業を開始する場合、既に法人で事業を行っている場合を除き、個人事業主として事業を新たに始める場合には「個人事業の開業・廃業等届出書」「事業開始等申告書」を提出する必要があります。
個人事業を開始する際は、基本的にこの開業届の提出のみで大丈夫です。また、この開業届を提出し忘れても、罰則なども特にありません。開業届を提出しなくても個人事業は簡単に始められますが、提出することで、青色申告に必要な「所得税の青色申告承認申請書」の申請ができるようになり、控除や専従者給与の申請ができるなどメリットが多くなりますので、節税対策にも有効なので是非、手続きをするようにしましょう。
書類や事務所の所在地によって、提出する書類、提出する場所が異なりますので、必ず届け出をする税務署、市町村役場などに事前に相談をされることをお勧めします。
必要な許可・申請を確認しよう!
ECサイト(ネットショップ)で取り扱う商品によっては、資格や許可が必要な商品があります。以下に、ECサイト(ネットショップ)で取り扱いがされるであろう商品と必要な資格、許可などについて紹介をします。
販売するもの | 関連法律 | 必要な資格 | 必要な許可 | 管轄 |
---|---|---|---|---|
食品 | 食品衛生法 | 食品衛生責任者 | 食品衛生法に基づく営業許可 | 保健所 |
中古品 | 古物営業法 | ― | 古物商許可 | 警察署(生活安全課、防犯係など) |
酒類 | 酒税法 | ― | 通信販売酒類小売業免許 | 税務署 |
健康食品 | 食品衛生法 医薬品医療機器等法 薬機法 | 食品衛生責任者 | 医薬品医療機器等法に基づく許可 | 保健所 |
化粧品 | 医薬品医療機器等法 薬機法 | ― | 化粧品製造販売許可 医薬部外品製造販売許可 | 薬務課、厚生労働省 |
医薬品 | 医薬品医療機器等法 | 薬剤師 登録販売者 | 薬局開設許可 医療品販売許可 特定販売届出 | 保健所 |
ペット | 動物取扱責任者 | 動物取扱業 | 動物愛護相談センターなど | |
輸入品 | 食品衛生責任者など | 食品衛生法に基づく営業許可 | 保健所 |
いくつか例を挙げて紹介します。
販売するのもが「食品」の場合
食品を調理したり、製造したりする場合には「食品衛生法に基づく営業許可」が必要になります。また、食品を取り扱うので衛生管理などを行うための資格「食品衛生責任者」の資格も必要です。
例えば、ジャムやクッキーなどを製造してインターネットで販売をしたいような場合、食品を作る場所と作った食品を保管しておく場所(商品発送の拠点)それぞれに、作る食品の種類に応じた、保健所の営業許可が必要になることがあります。
あらかじめ加工された食品やペットボトル飲料などを販売する場合には、許可の申請は不要な場合もありますが、加工食品でも保管場所の許可が必要な場合もあります。
最も需要なことは、実際に食べ物を召しあがってもらうお客様に、食中毒の危険性や異物混入などの事故につながるおそれがないように心がけるという事です。食品の場合には管轄が保健所になるので、所在地の保健所などに必要な設備の要件、営業許可を受けるための手続きなどをご相談されるとよいいでしょう!
販売するものが「中古品」の場合
古本や古着、リサイクルショップなど中古品を商品として取り扱う場合には「古物商許可」の申請・取得が必要になります。法律により「古物」は「13品目」に分類されていますので、先ずは取り扱う予定の方品がどこに分類をされるか確認をしましょう。
1.美術品類
あらゆる物品について、美術的価値を有しているもの
(例)絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃・登録日本刀
2.衣類
繊維製品、革製品等で、主として身にまとうもの
(例)着物、洋服、その他の衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗
3.時計・宝飾品類
そのものの外見的な特徴について使用する者の嗜好によって選択され、身につけて使用される飾り物
4.自動車
自動車及びその物の本来的用法として自動車の一部として使用される物品
(例)その部分品を含みます。タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー等
5.自動二輪車及び原動機付自転車
自動二輪車及び原動機付自転車並びに、その物の本来的用法として自動二輪車及び原動機付自転車の一部として使用される物品
(例)タイヤ、サイドミラー等
6.自転車類
自転車及びその物の本来的用法として自転車の一部として使用される物品
(例)空気入れ、かご、カバー等
7.写真機類
プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等
(例)カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器
8.事務機器類
主として計算、記録、連絡等の能率を向上させるために使用される機械及び器具
(例)レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機
9.機械工具類
電機によって駆動する機械及び器具並びに他の物品の生産、修理等のために使用される機械及び器具のうち、事務機器類に該当しないもの
(例)工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機
10.道具類
上記及び下記に掲げる物品以外のもの
(例)家具、楽器、運動用具、CD、DVD、ゲームソフト、玩具類、トレーディングカード、日用雑貨
11.皮革・ゴム製品類
主として、皮革又はゴムから作られている物品
(例)鞄、バッグ、靴、毛皮類、化学製品(ビニール製、レザー製)
12.書籍
13.金券類
(例)商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、テレホンカード、株主優待券
ちなみに次のようなものは「古物」にはなりません。
- 投機目的のインゴット(地金、金塊、銀、プラチナ)アクセサリーや観賞用に加工しているものを除く)
- 化粧品や薬品、サプリメント
- お酒
- 再利用せずに捨てるもの、廃品
- などなど・・・
古物ではないから自由に販売してよいわけではなく、別に資格・許可申請が必要になる場合もありますので注意をしてください。
古物商許可申請は、営業所(古物営業を行う拠点)の所在地を管轄する警察署の「生活安全課、防犯係」などが窓口になります。もし、ECサイトを開設するにあたり古物商許可が必要なかもと思ったら、管轄の警察署「生活安全課防犯係 古物商担当者」などに相談をしてみましょう。
販売するものが「お酒」の場合
実店舗でお酒を販売する場合でも「一般酒類小売業免許」の取得が必要となりますが、ECサイト(ネットショップ)で販売する場合には、別途「通信販売酒類小売業免許」を取得する必要があります。
国税局のサイトでは『概ね販売場の所在する同一の都道府県内の消費者等のみを対象とした通信販売を行う場合には一般酒類小売業免許の対象となりますが、インターネットを利用して2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として通信販売を行う場合には通信販売酒類小売業免許の対象となります』との記載がありますので、「一般酒類小売業免許」をお持ちでも、インターネットでの販売をする場合には少し注意が必要です。
居酒屋やレストランなどでも、テイクアウト用など店舗以外の場所で飲むために酒類を販売する場合にも販売許可が必要になることがありますので注意しましょう。(社会情勢により特例により販売等々が認められている場合もありますが、原則としては各種手続き・申請が必要になります。)
また、ECサイトでは不特定多数の人にお酒を販売することになるので、「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準(国税庁告示)」に基づき、未成年者への販売はできない事(注文の際に年齢確認などをする事)20歳未満の飲酒は法律で禁止されていることなどを、サイト内にしっかりと明記する必要があります。
販売できる酒類の範囲も次ように定められています。(税務署:通信販売酒類小売業免許申請の手引より)
- 品目ごとの課税移出数量が、 全て 3,000 キロリットル未満である酒類製造者が製造、販売する酒類
- 地方の特産品等を原料として、 特定製造者以外の製造者に製造委託する酒類であり、 かつ、当該 酒類の一会計年度における製造委託者ごとの製造委託数量の合計が 3,000 キロリットル未満である酒類
- 輸入酒類 (輸入酒類についての制限はありません。)
酒類の販売に必要な免許の申請は、ネットショップ(事務所)の所在地にある管轄税務署に行うことになりますので、不明な点などは管轄税務署の相談窓口などへご相談されることをお勧めします。