ネットショップ開業ノウハウといった書籍やセミナーなどで必ずといっていいほど、「サイトの状況を把握するためにもアクセス解析ツールを導入しましょう!」と言われるのではないかと思います。
とはいえ、アクセス解析ツールを導入しただけで、急にサイトのアクセス数が増えたり、商品の売れ行きが良くなることはありません。
アクセス解析ツールが集めてくれた情報を活用してネットショップの改善を図ってゆく必要があります。
先ずは、アクセス解析ツールを活用することでどんなことがわかるでしょうか?
アクセス解析ツールを活用することで分かる事
アクセス解析ツールを活用することで、ネットショップ(ECサイト)に関するいろいろな情報を得ることができます。
利用するサービスによっても違いはありますが、おおよそ次のような情報を取集することができます。
【行動に関する情報】
Webページが表示された回数や多く参照されているページはどこか?利用者がどのページからどのページに移動したか?
【集客に関する情報】
利用者がどこから来たのか?検索エンジンを経由して来たのか?SNSなどから来てくれたのか?
【利用者に関する情報】
Webサイトに訪れた利用者が何時ころ来たのか?使っている端末は何か?
【コンバージョンに関する情報】
Webページを見た利用者のどのくらいのが、商品を購入してくれたのか?
では、せっかくアクセス解析ツールが集めてくれた情報をどのように活用をしていけば良いのでしょうか?
先ずは、目標を定めよう
アクセス解析ツールが集めた情報を活用するには、ネットショップ(ECサイト)の運営についての目標を定めておきましょう。目標を定めるには「KGI」「KPI」といった指標を設けておくことが大切です。
・「KGI」:重要目標達成指標(売上高や利益高)
・「KPI」:主要業績評価指標
月間の売上目標を900万円とした場合を例にとって説明します。
先ずは、売上目標なので「KGI」は900万円になります。
次に「KPI」ですが、こちらは最終的な売上目標の達成に向かってしっかりと進んでいるのかを確認する指標になります。
売上目標を達成するには、どういった値を目標に設定するのが良いでしょうか?月間の売上目標を900万円とするのだから、1日の売上を30万円とするのも一つの案かもしれませんが、この場合1日の売上を達成するためのさらなる「KPI」が必要になりそうです。
では、1日に30万円の売上を得るにはいったい何件の注文が必要でしょう?その注文数を獲得するにはいったい何人のお客様が来れば良いでしょうか?客単価が1万円だとして、10人の来店者のうち1人は買ってくれると予想すると、1日に30万円の売上を得るにはおおよそ300人のお客様をサイトに呼び込む必要があるという事が分かりますので、「KPI」を300人として目標を設定します。
「KGI」:重要目標達成指標 ⇒ 月間売上90万円
「KPI」:主要業績評価指標 ⇒ 1日のサイト訪問者数300人
以上のように目標を決めましたので、アクセス解析を利用して1日の訪問者数が「KPI」として定めた目標に近くなるようチェックをしてゆくことにします。
当然、訪問者が予想より少なかったり、売上が思うように上がらないなどの事も考えられますので、アクセス解析の結果と照らし合わせて「KPI」に近づけるよう、さまざまな可能性を検討し、改善策を進めて「KGI」を実現するための対応を進めてゆくことになります。
定めた目標を実現するために必要な対策をとるため、アクセス解析ツールで収集した情報を活用してWebサイトの分析を行っていきます。
では、どういった値を目安に検討をしてゆけばよいのでしょうか?
アクセス解析で気にする指標や数値について
実際にアクセス解析を導入した場合、どういった値を目安に検討をしてゆけばよいのでしょうか?
アクセス解析には、ソフトを導入したり、ASPサービスを活用したり、プログラムに明るい人だったら自作をしたりと様々な導入方法があると思いますので、具体的なサービスを挙げるのは難しいのですが、アクセス解析でよく耳にする「数値」や「指標」について簡単に説明をしたいと思います。
どういった内容の「数値」や「指標」なのかが分かれば、アクセス解析の結果を読み解く重要な情報になってゆくと思いますので是非参考としてください。
【UU数(ユニークユーザー数)】
Webサイトに訪問をした人数を表した数値で、「ユーザー数」などとも言われます。
一定の期間内に1000人のユーザーがWebサイトを訪問したらUU(ユニークユーザー)数は1000になります。
仮に1人のユーザーが10回訪問をしても、UU(ユニークユーザー)数は1000になります。
但し、厳密にはWebページを参照したブラウザでカウントしているので、1人のユーザーが複数のブラウザを使い分けたり、異なる端末でWebページを参照した場合にはカウント数が変わる事があります。
【PV数(ページビュー数)】
個々のWebページが参照された回数を表す数値です。一連の行動で複数のページを参照した場合にはそれぞれのWebページがカウントされます。
【セッション数】
1人のユーザーがWebサイトに訪問して離脱するまでの一連の行動を1セッションとして表した数値で、「訪問数」や「流入数」とも言われます。
【直帰率】
訪れた利用者がそのWebページだけを見ただけで、Webサイト内の他のページを見ることなく離脱してしまった割合を表した数値です
【離脱率】
訪れた利用者がWebサイト内のいろいろなWebページを見た中で、離脱する前に最後に見ていたページの離脱した割合を表した数値です
【インプレッション数】
Web広告などを掲載した際に、その広告が表示された回数を表した数値です。
【リーチ】
Web広告の到達率の事で、広告が表示されたユーザー数を表した数値です。
1人の利用者が同じページを2回、3回と見たとしても、Web広告のリーチは「1」となります。
【CVR(コンバージョン率)】
Webサイトを訪れたユーザーが、予め設定している目的を達成した割合を表す数値です。
ネットショップ(ECサイト)であれば、Web広告や検索エンジンから訪れた利用者のうち、そのくらいの利用者が商品購入に至ったかといった目安を表した数値です。
【CTR(クリック率)】
Web広告が表示された回数に対しどのくらいクリックされたのか?Webサイトが検索結果で表示された回数に対してどのくらいクリックされたのか?などの表示された回数とクリック数の割合を表した数値です。
アクセス解析の結果をもとに、いろいろと分析をしてみよう。
決めた目標(「KGI」「KPI」)を達成するための、改善点や問題点をアクセス解析で得られた情報をもとに実際に分析をしてゆきます。
例えば「UU数(ユニークユーザー数)」「PV数(ページビュー数)」が少ないので、ネットショップ(ECサイト)への訪問者数がもう少し増えるように対策をしてみようかな?「直帰率」が高いので、商品ページに移動しやすくできるようにWebページの修正をしてみようかな?などと、なぜそのような結果になっているのかを推察しながら検討を進めてゆくとよいと思います。
幾つもの対策を一度にしてしまうと、何が原因だったのかなのかわからなくなってしまったり、対策が裏目に出てしまった時も何が失敗だったのか検証ができなくなってしまいます。早く成果を出したいのは皆さん同じですが、少しづつ解析の結果とにらめっこしながら慎重に進めるのがコツだと思います。