ネットショップの新しい販売手法「ライブコマース」

ネットショップの新しい販売手法「ライブコマース」

 新型コロナによる外出自粛により「巣ごもり消費」の拡大により、これまで以上にネット通販などの通販需要も大きくなってきているなか、多くの小売業者がECサイト(ネットショップ)の強化を図ったり、大型販売店や大企業までもがECサイト(ネットショップ)での販売展開を検討するといった流れがより大きくなってきています。

 また、増大する宅配ニーズにこたえるように配送サービスにおいても、置き配や宅配ロッカーの設置などいろいろと新しいサービスも開始されています。

 このような流れは必ずしも新型コロナの影響による一時的なものではなく、仮にコロナ禍が収束したとしても、ECサイト(ネットショップ)利便性という意味では拡大こそすれ、減少していくことはないのではないでしょうか。

 そういった意味では今後、加熱するECサイト(ネットショップ)の中で注目を集めているのが商品を紹介したり販売したりするだけでなく、接客までもできてしまう「ライブコマース」という販売手法です。

ライブコマースってなに?

 「ライブコマース」とはECサイト(ネットショップ)とライブ配信映像を組みわせたもので、ライブ配信される動画を見ながら商品を購入できるネット通販の事です。
 テレビショッピングのインターネット版というとイメージがしやすいかもしれません。新しいネット通販の形態として海外では注目を集めています。

 特に中国では商品販売者や購入者が爆発的に増加しており、2020年の「独身の日」にはコロナ禍での巣ごもり消費を期待して日本からも多くの企業が「ライブコマース」で中国市場にアプローチを掛けているそうです。

 サービス開始当初(2017年ころ)は「すでにテレビショッピングがあるのなら、インターネット版なんていらないんじゃないの?」「誇大表現があるかもしれないし、商品の良いところしか教えてくれなそう!」などのマイナスイメージが先行していたようですが、「ライブコマース」の最も大きな特徴となる「視聴者がリアルタイムで出品者や販売者に対してコメントや質問をしながらショッピングができる」というメリットが理解されてきた現在では、新たな販路拡大を目指し改めて注目を集めています。

 テレビショッピングや商品紹介動画などでは、商品の魅力やアピールポイントを伝えるイメージや、購入者の方が気になるであろう点を想定して作成されている「一方通行」の情報提供になりますが、「ライブコマース」ではインターネットならではの強みとなる、双方向のやり取りを通じてショッピングを楽しむことができるのです。

 なお、「ライブコマース」を使って買いたいと思う商品のランキングでは1位「服」で42%、2位「家電」で40%、3位「コスメ・香水・美容」で32%、4位「家具・インテイリア」で32%、5位「スポーツ・アウトドア用品」で27%となっています。関連の商材を取り扱っているECサイト(ネットショップ)については、購入者のニーズも高まってきているのではないでしょうか。

そもそもライブ配信について抵抗がなくなってきた!

 コロナ禍の影響でセミナーや会議などのリモート化や動画配信などといった事が注目を集めている中、多くの人がインターネットを経由して動画を見たり、システムを通じて質問をしたり意見を言ったりと事に抵抗がなくなってきている点も「ライブコマース」が普及している一因となっているといえます。

 少し前(2019年ころ)の情報になりますが、ある調査によると10代、20代では3割以上、全体では2割弱しか「ライブコマース」の動画視聴経験がありませんでした。しかし、視聴者のうち5割の人が商品を購入しているとの結果があります。

 当時はまだライブ動画を見るといった環境や習慣自体が少ない時期といえますので、今後はかなり伸びていくことが期待できます。
 また、同時に多くの「動画配信サービス」も増えてきていますので、ライブコマース黎明期のように限定されたサービスだけでなく、SNSやリーズナブルなサービスを利用して、誰でも気軽にライブ配信をすることができる環境が整っていることも配信側のメリットの1つといえます。

ライブコマースのメリット・デメリット

「ライブコマース」のメリット

【双方向のコミュニケーションがとれる】
 もっとも大きなポイントとしては、配信中に販売者と視聴者との双方向でのミュニケーションをとる事ができる点です。

 例えば配信中に「もう少し商品をカメラに近づけて欲しい!」「商品の後ろ側を見せて欲しい!」「音はどのくらいの大きさですか?」といったネットショップのページを見るだけやカタログを見るだけでは分かりにくいポイントなどを直接聞くことができて、販売者もその場でそれに対し、回答もできるので、自宅に居ながらもお店でショッピングをしているように買い物ができる点です。

 販売者にとっても、多くの情報を伝える事ができるし、視聴者の反応を見ながら対応もできるので、お客さまのお困りポイントや疑問点に細かく答えていくこともできます。

【リピーターや固定客になってもらいやすい】
 実店舗で購入するかの如く、商品説明を受け、疑問点を解消し、購入するといった流れになるので、購入したいという気持ちを強く持ったまま購入手続きに入ってもらいやすくなります。

 また、販売者と密なコミュニケーションをとる事で、販売者との親近感を得てもらいやすく、購入時のストレスもなく、気持ちよく購入手続ができるといったよい買い物体験を経験することで、ネットショップの印象も残りリピーターとして再訪問していただける可能性も高くなると言えます。

「ライブコマース」のデメリット

【ライブ配信用の設備や知識が必要】
 ライブコマースは、インターネットによるライブ配信という性質上、配信設備やノウハウ的な知識といった点が少なからず必要になります。

【集客についてアイデアが必要】
 ライブコマースの開催についてはインターネットで実施をする必要上、開催までの告知や集約に準備が必要です。
 ライブ配信中に見てもらえなければ意味がなくなってしまうのでそのための工夫も必要になってきます。

【紹介する人物にも影響される】
 ライブ配信時に紹介する人物(インフルエンサー)が誰なのかによっても注目度が変わってきます。
 海外では、有名なインフルエンサーによって大きく売上をあげているサービスもあるようで、話題になれば大きな売上も期待できます。

 今まではライブ配信用の機材や設備などの費用が掛かる点から有名なインフルエンサーに頼りに売り上げを上げる事が「ライブコマース」の主な手法だったようです。
 しかし、今回のコロナ禍の影響で、ショップのオーナーや販売員による消費者目線のコメントや対応が却って親近感を持ってもらえたり、SNSのライブ配信機能を活用したりリーズナブルな価格でライブ配信ができるサービスも増えてきているので、少しづつではありますが、デメリットとして挙げている内容も解消されつつあるといえます。

ライブコマースができるツール

ライブコマース専用ツールからSNSなどでもライブ配信機能をサポートしているものもあります。

 身近なものでは「FaceBook」「Instagram」といったSNSでもライブ機能が用意されています。
 配信と同時に購入ができたりといった専用機能や仕組みはないので、ECサイトに誘導して購入を促したりといったちょっとした工夫が必要かもしれませんが、ECサイト(ネットショップ)の情報発信ツールとして既に活用しているSNSを利用できれば、「ライブコマース」の告知も含め集客についても容易にできます。活用しない手はないでしょう。
 それに、まずはお試しで開始してみようと思う分にはハードルが低いと思います。

 ライブコマース機能として提供しているサービスとしては「TAGsAPI」「Yahoo!ショッピング LIVE」といった有料サービスも提供をされていますので、売り上げや購入者の反応をみて導入を検討するのも良いのではないでしょうか。

 サービスにより、販売形態や得意な商材もあるようなので、販売している商品と相性良いサービスを検討する必要がありそうなので注意しましょう。

■まとめ

 これからも多くの小売店や販売店、企業が参入するであろうECサイト(ネットショップ)市場ですが、ライブコマースを活用することで今まで一方向での情報発信だったECサイト (ネットショップ)に、あたかも実店舗のようなリアルタイムのコミュニケーションを導入できるメリットがあります。

 視聴者にとってはリアルタイムで商品に関する質問やコメントができることは商品の購入に関してとても重要なことだと思いますし、販売者にとってもECサイト (ネットショップ)の説明文やコメント、写真などでは伝えきれない情報を伝えることができたり、商品を提案して販売をすることができたりするなど多くのメリットが期待できます。

 ライブ配信サービスも充実してきている状況ですので、実際に失敗事例なども話題に上がりますが、今後発展が予想される分野にもなりますので、引き続き注目していく必要がありそうです。

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